赤朽葉家の伝説/桜庭一樹
これは面白い
主人公が語る、祖母と母の物語。ほのかに非現実的な要素やシュールな情景を織り交ぜ、日本の昭和史を追いながら物語は流れる
第二章「巨と虚の時代」が特に面白かった。4人の子供が、それぞれ時代の申し子を体現しているようで
第三章で自分の話に移る語り手は、見事に今の若者の典型。そんな時代になった背景、というか流れを紐解いていくのが第二章であるように思える
きっと読む人の年齢によって、読み方は全く変わってくるのだろう。自分は若い主人公が、自分と現代のルーツを探す物語として読んだ
「語るべき新しい物語はなにもない」と言う主人公。それは、今の若者に語るべき物語を作っていけというメッセージなのかもしれない。なんていうと考えすぎだろうか
しかし、ずっと過去について語ってきたこの物語が、最後の最後で未来にちらっと目を向けるとき、なんだか不思議に爽やかな希望を感じた
過去を振り返りながらも、ノスタルジーで時代を美化しない。そんな態度が作品から読み取れるからこそ、この物語の一見なんでもないラストに、尊い価値があるように思えてくるのではないだろうか
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