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2008年8月

赤朽葉家の伝説/桜庭一樹

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これは面白い
主人公が語る、祖母と母の物語。ほのかに非現実的な要素やシュールな情景を織り交ぜ、日本の昭和史を追いながら物語は流れる
第二章「巨と虚の時代」が特に面白かった。4人の子供が、それぞれ時代の申し子を体現しているようで
第三章で自分の話に移る語り手は、見事に今の若者の典型。そんな時代になった背景、というか流れを紐解いていくのが第二章であるように思える
きっと読む人の年齢によって、読み方は全く変わってくるのだろう。自分は若い主人公が、自分と現代のルーツを探す物語として読んだ
「語るべき新しい物語はなにもない」と言う主人公。それは、今の若者に語るべき物語を作っていけというメッセージなのかもしれない。なんていうと考えすぎだろうか
しかし、ずっと過去について語ってきたこの物語が、最後の最後で未来にちらっと目を向けるとき、なんだか不思議に爽やかな希望を感じた
過去を振り返りながらも、ノスタルジーで時代を美化しない。そんな態度が作品から読み取れるからこそ、この物語の一見なんでもないラストに、尊い価値があるように思えてくるのではないだろうか

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流れよわが涙、と警官は言った /フィリップ・K・ディック

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★★★★☆

「電気羊」と並んで、ものものしいタイトル……
今まで読んだディック作品3冊の中では、一番好きかもしれない
大スターがいきなり、自分は世界に存在しなかったということにされてしまうという話
ディックの白昼夢、ここに極まれりと言う感じだろうか。ものすごい悪夢だけど。足掻く主人公がかなりかわいそうになってくる
オチは結構意味不明なので、合理的解決を期待したらがっかりするかも

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とある飛空士への追憶 /犬村小六

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★★★★★

わりとベタな展開だけど、非常に上手く書かれているという印象

お姫様を飛行機に乗せて適地を突っ切るという任務に、序盤からワクワクした

主人公は地味だけどかっこいいし、スリルあり、ラブあり、ヒロインも可愛い

迫力の空中戦や、クライマックスでのショーなど、空と飛行機が魅力的に描かれている点もいい

ラストは切ないけど、素敵な終わり方だったと思う

こういう、一巻完結できれいにまとまってる良作が、ラノベ全体に増えてほしいと思う

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さよならピアノソナタ〈3〉 /杉井光

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★★★☆☆

なんというか、新キャラどうなのよ?

そしていい加減主人公の鈍さに疲れてきた

音楽ネタも前回ほどの冴えがない気が……まあ個人的には大好きな「クロイツェル」がでてきたからいいんだけど

まあ交響曲も3楽章あたりが一番疲れてだれてくるところだから。フィナーレに期待

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高い城の男 /フィリップ・K・ディック

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★★★★☆

第二次大戦で枢軸国側が勝利した世界の物語
でもその世界が実は……と、世界そのものの現実性を揺らがせてしまうラストに感動
それにしても、日本人が完全にアメリカ人を虐げている図式は、なんだかマゾヒスティックにすら感じる。日本人としてはちょっと楽しいけど

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アンドロイドは電気羊の夢を見るか? /フィリップ・K・ディック

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★★★★★

映画「ブレード・ランナー」は昔見たことがある。ただ、原作と言ってもストーリーは全然違った
非常に面白かった
人間そっくりのアンドロイドという存在を通して、人間とは何かを考えさせられる作品
主人公のアイデンティティが人間とアンドロイドの狭間で危うくなるとき、僕にはむしろ作品世界内の人間の方がひどくグロテスクに見えた
機械で誰かとの共感を体験し、動物を飼って感情移入の「能力」を示さないと、人間でいることができない
レイチェルを抱くデッカード、アンドロイド達を友とするイジドアが、そんな人間とアンドロイドの壁をさらに破壊していく。果ては現実と妄想の境界もわからなくなってしまう
読むうちに主人公と共に気が滅入っていく。自分が人間である証拠を、本気で探したくなる。探さなくちゃいけない気がしてくる

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